愛しながら断る力
私たちは「愛の人」で在ろうとするとき、つい無条件の受容や優しさを「境界線を失うこと」と混同してしまうことがあります。
けれど、ほんとうの愛は、境界線の上に咲く花のようなもの。
ただ無防備に差し出すものではなく、
「この人のためにも、ここから先はノーと言う」という
静かな勇気の現れでもあります。
私は、セッションや日常の中で、
“断ることでしか伝えられない愛”
というものを幾度となく体験してきました。
たとえば、
依存的なエネルギーで近づいてくる人に、
「それはあなた自身が見つけるべきものよ」と手を離すとき。
相手は最初、痛みや怒りを感じるかもしれません。
けれど、その中に「あなたはできる人よ」という
私からの信頼が込められていることに、
いつか気づいてもらえると信じています。
スピリチュアルの世界では、
「すべてを受け入れる=高次の愛」
という幻想が語られがちですが、
本当に高次の愛とは、
自己も他者も対等に尊重する“対話”であり、
その中には優しい「拒否」も含まれているのです。
自分の内なる「NO」は、魂の声。
その声を押し殺してまで他者を助けるとき、
それはもはや「与える」ではなく「犠牲」になってしまう。
そして、犠牲の先に咲く仮面を被った愛は、どこか苦しみに満ちています。
だからこそ、自分を守る愛もまた、
宇宙が喜ぶ“清らかな選択”なのだと思います。
あなたが誰かに「ノー」と言えるとき、
実はあなたは、深いレベルで「イエス」を放っている。
——「私は、私に忠実に生きる」というイエスです。
「愛しながら断る」ことは、
恐れではなく、信頼から行う行為。
それは、真に成熟した魂の姿であり、
あなた自身が内なる神聖さと繋がっている証です。
今日、あなたが小さな「ノー」を選ぶことで、
明日、誰かが「本当のイエス」に出会うかもしれません。
あなたの境界線は、
あなたという“神殿”を守る、美しい結界。
「神殿は守る、でも祭壇は開く」
そんなイメージで。
どうか、誇りと共に張り巡らせてください。
Makiko