前回の続きです。
「母の傷」を理解し癒していくためには、「個人的な母」と「元型的な母」を区別することが不可欠です。
この区別ができないままでは、私たちは延々と母親やその記憶に囚われ、感情的な自由を取り戻せなくなってしまいます。
母の傷というと、「自分の母親との関係の中で受けたトラウマ」だけを思い浮かべるかもしれません。
けれど、それはほんの一部にすぎません。
母の傷とは、もっと広く、人類の集合的無意識に刻み込まれている“母という元型的イメージ”から生じる痛みでもあるのです。
「母から本当に愛されることを、まだどこかで待ち続けている」。
そんな感覚を持っている人は少なくないはずです。
大人になっても、家を出ても、独立しても、心の奥で「母の承認がなければ私は完全ではない」と感じてしまう。
これが、母の傷がつくり出す“心理的な隷属”の姿です。
個人的な母 ― 「目の前にいた、ひとりの人間としての母」
まず一つ目は、「個人的な母」。
これは、あなたを実際に育ててくれた母親という“現実の人物”です。
彼女には歴史があり、気質があり、人生がありました。
そして彼女自身もまた、時代や環境、そして解消されなかった心の痛みを抱えながら生きていた存在です。
あなたが覚えている温もり、励まし、あるいは批判や無関心。
そうした具体的な思い出は、すべて「個人的な母」との関係から生まれています。
癒しにおいて大切なのは、この母を「完璧な存在」「絶対的な悪」としてではなく、不完全で、傷を抱えたひとりの人間として見つめ直すことです。
彼女を人間として理解することは、恨みを正当化するのでも、美化するのでもなく、現実を受け入れる最初の一歩になります。
元型的な母 ― 「無意識の中に生き続ける母の像」
対して「元型的な母」とは、記憶に限定されない、無意識の中に宿る“母のイメージ”です。
母の元型は、光と影の両方を持ちます。
命を与え、育み、守る存在である一方、窒息させ、食らい尽くし、破壊する存在でもある。
だから実の母に会ったことがない人でさえ、この元型の影響を受けます。
母親が不在だった人は「見捨てられる母の像」を、
逆に過干渉な母に育てられた人は「窒息させる母の像」を心に刻み込みます。
こうして無意識に刷り込まれたイメージは、成人後も繰り返し浮かび上がり、同じ感情的ドラマを再演させてしまうのです。
区別がもたらす解放
ではなぜ、この「個人的な母」と「元型的な母」を区別することがそんなに重要なのでしょうか?
感情的な囚われをほどく
この二つが混ざったままだと、私たちは母を“自然の力”のように感じ、彼女の記憶や一言一言に無条件で反応してしまいます。
その結果、物理的には距離を取っていても、心理的には母の支配下に生き続けることになります。
内なる母の声に気づく
母を「人生をすべて与えてくれた」「人生を台無しにした」と極端に語ってしまうのも、実は元型的な力を投影しているから。
母という個人に向けた感情というよりも、もっと古い“母の原型”に反応しているのです。
この仕組みに気づけると、自分の中で聞こえる「ダメな子ね」「期待に応えなさい」という声が、必ずしも母本人の声ではなく、元型的なイメージが生み出す幻影であると理解できるようになります。
個性化への道
そして何より、この区別は「個性化」のプロセスに欠かせません。
母を一人の人間として見つめ直し、同時に無意識に刻まれた母の像とも向き合うこと。
この二重の作業を通して初めて、私たちは「母親の子ども」という枠を超え、真の自己として歩み出すことができるのです。
区別の先に広がる自由
ユングは、多くの神経症やアイデンティティの葛藤の背景に、この「母の元型からの心理的な分離の失敗」があると考えました。
だからこそ、この区別を知ることは、癒しと自由への入り口なのです。
母を“人間”として理解し、同時に“元型”としての母を意識に上げていくこと。
これが、母の傷から解放され、感情的な主権を取り戻すための大切な通過儀礼です。
母との関係に悩むとき、私たちはしばしば「母がどうだったか」という具体的な記憶にばかり囚われます。
けれど、その背後には、はるか太古から続く「母のイメージ」という大きな影が潜んでいます。
その二つを見分けられるようになると、母親という存在を超えて、自分自身の魂の自由を取り戻す旅が始まるのです。
母親の傷というのは、少なからず自分の中の『女性性』と関係しています。(性別問わず)
傷つき/弱体化した女性的なエネルギーの特徴
– 依存的
– 感情的になりすぎる
– 過剰に謝罪する
– 境界線が弱い
– 無力感を感じる
– 「ノー」と言いにくい
– 不信感
– 共依存的
– 不安を感じる
– 人に気に入られようとする
– 外部からの承認を必要とする
– 自分の真実を語れない
エンパワーされた女性的エネルギー
– ありのままの自分であること
– 傷つきやすさを受け入れること
– 共感力を持つこと
– 受け入れる力を持つこと
– 思いやりを持つこと
– 信頼すること
– 自信を持つこと
– 愛と支えを与えること
– 強さを持つこと
– 境界線を設定できること
– 自分の真実を語ること
– 「ノー」と言える力
– 安心感を持つこと
✨今日の問いかけ✨
「母の声ではなく、自分自身の声を信じて生きるとしたら、私は何を選ぶだろう?」
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
Makiko
⭐️本日のニュースレター読者様交流会はMakiko Yogaでした。来月は大阪でオフ会です。お楽しみに🥰