こんにちは。Makikoです。
突然ですが、コンタクト・インプロヴィゼーションってご存じですか?
コンタクト・インプロヴィゼーション(Contact Improvisation、略してCI)は、日本の合気道からインスピレーションを得て、アメリカのナンシー・スターク・スミスが確立したダンスの一種です。
一見ダンスのようで、そして本当にダンスでもあるのですが、“生きる練習”のようなものです。
振付もルールもなく、その瞬間に二人以上の人が身体の一点だけくっつけて、重さや流れを委ね合い、即興で動いていく。
そこには「支える・預ける・転がる・ずれる」といった、とてもシンプルで原始的な身体の対話が生まれます。
合気道は「戦わずして調和する武道」。
剣や柔道のように「相手を倒す」ことが目的ではなく、相手の力を受け流し、その流れに自分の動きを重ねて技をかけるそうですが、
その合気道をもっとダンスっぽくーーーずっと流れるように即興で、ノンバーバルコミュニケーションで動き続けている。。。
そんなイメージです。
私の前の夫がCIの先生をしていたこともあって、かれこれ8年ほど私も一緒にCIをやっていました。
ライタリアンプログラムを受講中で、先日チャネリング講座を終えられた方の中に、合気道の先生をされている女性がいらっしゃって、久しぶりにCIについて思い出し、合気道とCIの共通点についての話で盛り上がりました。
また、彼女の長年の身体の訓練で培った、天と地とスコンとつながる感じが、ライタリアンワークやチャネリングに大きく活かされているのを発見して、やはり理屈より、魂の器である身体の土台って大事だな、と改めて思いました。
合気道については、私は1回しかクラスを受けたことがないので詳しくないのですが、今回は私の思うCIの面白いところを書いてみようかと思います。
CIはまさに「内側の鏡」を外側の身体のやりとりの中に見る実践です。
たとえば──
- コントロールを手放す練習
相手に身体を預ける時、心の奥に「ちゃんと支えてくれるかな?」という不安が立ち上がる。その不安ごと委ねてみると、意外にも“重さを預け合う”という人間の信頼の原型がそこに現れる。これは人生における「信じる力」のリハーサルです。 - 境界線を感じ取る練習
肌の接触や重さのやり取りの中で、快適さと不快さ、自分の限界や相手の限界が直感的に浮かび上がる。これは人間関係で「どこまで近づくか」「どこで離れるか」を学ぶ実験室のようなもの。 - プレゼンス(今ここ)の体験
次の動きは決まっていない。だから、考えすぎるとすぐにぎこちなくなる。ただ呼吸と感覚に耳を澄まし、次の瞬間に身体が導く方向へ動く。この“今に委ねる感覚”は、瞑想の動的バージョンとも言えます。
CIは「自分の癖」が浮き彫りになります。
・相手をリードしたがる人は、無意識のコントロール欲求を目撃する。
・いつも受け身な人は、動き出す勇気を身体で試せる。
・安心できない、と心が固まる人は、「重さをゆだねても壊れない」体験を通して信頼を深められる。
そして面白いのは、これは相手のためにやるのではなく、「自分のために正直に動く」ことが、結果的に相手との美しいダンスを生む、という逆説的な真理です。
これはまさに、人間関係やパートナーシップの核心と重なると思います。
言葉でまとめるとシンプルすぎますが、実際にやってみると「体を通してしかわからない」不思議な叡智が立ち上がってきます。
ダンス経験がなくても大丈夫というか、むしろ、型がないからこそ、誰もがそのままの自分でいられるのです。
しかし、型はないですが、適当で好き放題だと怪我もしますし、迷惑もかけます。
より楽しむためには、個々が自分の癖をよく知って身体という楽器を磨いていくこと
〜身体構造の理解や、技術を身につけること、自分の限界を知ること、そしてエチケット。。。
それらを文字通り、たくさん失敗しながら身体で学んでいきます。
「他者と触れ合うことは、自分と出会うこと」
──コンタクト・インプロヴィゼーションは、その真実を遊びながら身体に刻む道だと思います。
日常の人間関係に応用できるCIのエッセンス
⭐️パートナー関係に活かす
CIでは「リードする」「フォローする」という固定の役割はありません。瞬間ごとに自然に役割が入れ替わるのです。これは恋愛や夫婦関係にそのまま使えます。
- 片方がいつも主導権を握るのではなく、流れの中で「今日は私が導く」「今はあなたに委ねる」と変化を許す。
- どちらが動かしているのか曖昧になる瞬間こそ、二人の呼吸がひとつになる。
これは「共に創造する関係性」への鍵だと思います。
⭐️職場や仲間との関係に活かす
CIで重要なのは、“聴く身体”です。相手の重さ、スピード、緊張や緩みを、言葉ではなく感覚で感じ取る。
- 他者が発言する時の声色やちょっとした間に注意を向ける。
- 自分の意見を押し付ける前に「この人は今、前に出たいのか、それとも支えが必要なのか」を感じる。
身体で培った“気づきのアンテナ”は、人間関係全般の質を底上げしてくれます。
⭐️親しい友人や家族に活かす
CIでは「支える」と「預ける」が常に両方向です。支える側も、実は支えられている。
- 家族の悩みを聴くとき、「助けなきゃ」と力むと相手は重さを預けられない。
- ただ自分の呼吸を安定させ、自然体で聴くと、相手は安心して心の重さを委ねられる。
つまり「相手を支える」ことは「自分が安定して在る」ことでもあるのです。
⭐️自己関係(セルフリレーションシップ)に活かす
CIは他者と踊るものですが、実は「自分の内なる声」とも踊っています。
- 体が疲れているのに無理に動かそうとすると、すぐにぎこちなくなる。
- 自分のリズムに正直に動くと、自然に相手との調和が生まれる。
日常でも同じで、「無理して合わせる」より「自分に正直でいる」ことが、結果的に調和を生みます。
結局のところ、CIが教えてくれるのはとてもシンプルなことです。
「私が私であるとき、あなたもあなたでいられる。そしてその間にダンスが生まれる。」
もしやってみたい方には、お近くのCIのワークショップに参加して、まずは“転がり合う”楽しさを味わうのがおすすめです。
ただCIは、そんなに日本でポピュラーではないと思うので首都圏でたまに開催してるだけ、というのと、人と一緒でないとできないのでオンラインで習うことは難しいと思うのですが、一人で練習するアイデアもありますのでまた機会があればご紹介しようと思います。
では今日も良い1日を😃
Makiko