「クリスタは両手を頭の下に当てて、草の上に寝ころび、大きな目を開けて、果てしのない青い空をながめます。
これが彼女にとって一番幸福な時です。
こんなにはげしい労働をする小さな花売り娘は、さぞ不満をもっているのだろうと考える必要はありません。
彼女は決して不満をもったことはありません。
毎日三十分間、こうして自由になる時間のあるかぎり、将来も不満はもたないでしょう。
野原で、草や花の中で、天を仰いで寝そべっている時、クリスタは幸福です。
そこには人もおらず、マーケットもなく、疲れも忘れてしまいます。
クリスタは毎日こういう時間
― 神さまと自然の美しさとだけいっしょにいる自由な時間 ―
をもてますようにと考え、夢見るだけです。」
〜創作童話〜「花売り娘」より