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母の愛を思い出した日

石垣島の桜は、寒緋桜(カンヒサクラ)といって梅のような姿をしています。

通常1月中旬ころから咲き始めるようですが、今年は1月にぐっと冷え込むことがなかったせいか、全体的に遅いようです。

 

桜と言えば、私が20歳の春に入院していた時のことを思い出します。

就職活動真っ只中の春に、盲腸を我慢していて腹膜炎になり1ヶ月入院していたことがあります。

 

ちょうどお花見の季節で、お見舞いに来てくれていた母に

 

『桜見たいわあ』

 

と、ポロッと言ったからだと思うのですが次の日に、お見舞いに来る道中に咲いていた桜の木の枝を

 

ボキッ

 

っと折って持って来てくれたのです。

 

私は、嬉しいという気持ちより先に

『看護婦さんや、同室のおばさん達に何か言われたらどうしよう』

と真っ赤になりました。

 

母は子供みたいなところがあって、宝塚歌劇のスターが池田銀行のポスターとして貼られてあった時も銀行の人に、

 

『娘がファンなんで』

 

と言って、もらって帰って来たりする人でした。

 

 

先日、母が心筋梗塞で入院しました。

私は、母が桜が見たいと言ったら、喜ばせたいという一心で、道徳心や人の目を気にせずに、ボキッと折って持っていけるだろうか。

 

 

だぶん出来ないところが私の弱い所で、そこは父と似ているところでもあります。

そして、それは母が父に対していつも寂しく思っているところでもありました。

 

Makiko