アムステルダム

ヨーロッパを発つ前に、どうしても会わなければいけない人に会ってきました。
それは50代半ばのアメリカ人女性Tさんで、
この日は20歳になる一人息子ラインの誕生パーティー。

久しぶりに会った彼女が見違える様に 色っぽくなっていたのに驚きました。
ライン君は、重度の障害を持っていて、早くに旦那さんを亡くしたTさんは
女手一人でライン君を育ててきました。
といっても、Tさんは、ヨーロッパのコンテンポラリーダンス界では多くの人が師と仰いでる
バリバリの仕事人間でもありました。
彼女はこの秋から、
ライン君の今後の将来の為にも、彼を遠くの養護施設に入校させる事にしたようです。
なので、こうやって自宅で誕生パーティーをするのは、もう最後になります。
折しも一ヶ月前、彼女は約20年ぶり?に新しい恋人を見つけました。
60歳の彼は、4回目の離婚調停中。
子供を作るのを怖がっていて一人も子供はいませんが
今は強いて言えばライン君が初めての息子です。
ライン君は、
どれぐらい強く握ったら”痛いか”とか、自動車には気をつけないと危ないという”危機感”、
がありません。
それでも、私や主人にはやさしくハグしてくれるのですが
新しい恋人の手は、指の骨が折れるぐらい強く握って彼を怒らせます。
ライン君の顔はニコニコ笑ってますが、
どこかで、嫉妬を感じてるのかな?
Tさんと恋人の関係は、ライン君の嫉妬を除いてはうまくいってる様です。
”もう私もいい年になったから、彼が私やラインに何か不満があったとしても
全然気にならないの。
もう少し若かったら、相手の気に入る様に自分を変えたりもしてただろうけど。
ラインを含めたそのままの私を受け入れてくれないなら、それまでだわ。”
と、彼女らしく全く媚びた様子はありません。
”でも彼と暗闇でするセックスがいいのよ。”
20年弱、子育てと仕事中心で、完全に父親、男の役割を演じてきたTさん。
ここで、やっと”役割”という仮面を脱ぎ捨てて
女性である自分を謳歌する事を自分に許可した様です。
とは言っても、靴下も自分で履けない、満腹神経もないので食事も見張っていないといけない
24時間かかりきりだったライン君とのお別れの日を想像するだけで
胸が痛みます。
人は、一生をかけて、
自分の中の男性性と女性性を統合していくのかな。
たくましい女性は、いつもちょっと切ないストーリーを持っていますね。